新しい水路

a0072072_15581638.jpg

あけまして、おめでとうございます。

さて、年が明けて昨年のことを書くのも何ですが、、、
昨年12月の展示会は少し大げさに言うと、人生の節目となるようなものでした。

一昨年の7月、3ヶ月のドイツ滞在から日本に戻り、それから長い移行期間を過ごし
て来ましたが、今回の展示会をもって、ようやく新しいフェーズに移行できたことを
実感しています。お力添え頂いたすべての方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。
本当にありがとうございました。

a0072072_16171432.jpg

昨年始めに、”今年は新しい水路をつくるような気持ちで日々を過ごそう”と
内成る誓いを立て、この日記にも、今回の展示会に至るまでのあれこれを時折
散文的に書いてきましたが、実際にカタチとして行動に移し始めた7月からの
半年間よりも、まだカタチにならないメタフィジカルな状態の半年間こそが、
新しい水路の全体像を自由に描き出してくれたと思っています。

そしてここに至るにあたり、キーとなるあるお話会の存在があるのですが、
それについて断片的に何かを書き説明できるようなことではそもそもないので、
それは今後も、何かしらのカタチで浮かび上がらせていこうと思います。

今回の展示会で表現したものは、その浮かび上がってきたカタチのないものに、
名前を付け、カタチ作った、最初の想像(創造)物とでもいいましょうか、、、
ちょっとだけご紹介します。

a0072072_16434049.jpg

こちらはグラフィックデザイナー 松尾浩一さんとわたしのコラボユニット
「ことまつ」による数字のオリジナルタイポグラフィの原画。
これは一部なので全体像は見えませんが、黄金比(フィボナッチ数列)と素数を
図形化しています。もちろん、何故そうなのかの理由はありますが書きません。
そこは見る人の想像力に委ねます。

この原画は、白い和紙にシルクスクリーンの白い発砲インクで手刷りしています。
そうすることで、離れて見ると真っ白で何も見えないけど、近づいたり、光の陰影で
図形が浮かび上がって見えるようにしています。

これには「星の航海図」という名前を付けました。


 わたしたちはみんな、星の航海図を持ってこの世界にやってきます。
 そして、ときどき、それを手に出し広げて見てみるのですが、普段は真っ白で
 何が書いてあるのかさっぱりわからない。

 でも、あるとき、その航海図が浮かび上がってくる瞬間がやってきます。
 そのときこそ「星の航海図」がその人自身の「人生の航海図」となる
 瞬間であり、そこに描かれているであろう「知恵と勇気」の青写真を手に
 自ら、人生の舵を切るときなのです。



そんなイマジネーションを込めて。

a0072072_1718784.jpg

この「星の航海図」には物語があります。

この物語は、ベルリン在住の“物語るをつくる人”こと、只松靖弘さんとの
共同執筆で「星と素数」と名付けました。

日本とベルリンと距離があるなかでの共同作業は、往復書簡のような
言葉のキャッチボールをするような感じで進めていきました。

初めに只松さんから投げかけられた物語は、「私」で始まる「私」の物語になって
いたので、そうではないことを伝え、誰のものでもないけれど誰のものでもある、
ちょっと大きなことを言えば、神話のような物語を書きたいと、まず物語の
骨格をわたしが作り、只松さんとふたりで肉付けをしていったのですが、
この物語のなかに、只松さんが完全なるフィクションを描いてくれたことで、
矛盾するようですが、作り物であるはずの物語にぐっと真実味が出ています。
常々、物語の中にこそ真実があると思っているので、それを改めて実感しました。

a0072072_17444356.jpg

そして、原画と物語と同時進行で制作してきた、ターコイズブルーのこのカバン。

これには「星使いのカバン」と名前を付けました。
カバンの中には、もちろん「星の航海図」が(刷り入れてあります)入っています。

普段、はじめて作るものは定規を当てずなんとなく布を触りながら作るのですが、
このカバンに関しては分度器で角度をとり、きっちり数字をみながら完全に
シンメトリーになるように作っています。

a0072072_17592974.jpg

そして、最後に。
星の航海図、星と素数の物語、星使いのカバン、この世界観を
アニメーターの馬場通友さんと音楽家の西村周平さんに、彼らの映像と音楽の
コラボユニット「LOOP CONNECTS」の中で表現していただきました。

馬場さんと西村さんには、ライブの1ヶ月ほど前に好きにやって下さいと
原画と物語を渡して、ライブ当日までどんな世界が描かれているのか、
全く知らされていなかったのですが、、、

まるで最後のパズルピースがピタッとはまるかのような、決して描き切れない、
語り切れない余白を、映像と音楽でどこまでもやさしく満たしてくれるような瞬間で
ポロポロと、涙がこぼれ落ちるばかりでした。

西村さんが「星と素数」の物語を読み、それに捧げるように作ってくれたという曲。
それはドイツ語で「polarsterm」ポーラスタア(北極星)と名づけられていました。

薄暗い空間のなか、西村さんの口から「北極星」という言葉が発せられた瞬間、
ぞくっと、鳥肌が立ちました。

なぜ、この人には分かったんだろう、、、と。

実は、只松さんとの往復書簡の中で、わたしが最後の最後で書き足した
ある一節があります。その言葉がどこから降ってきたのか、自分でも最後まで
よく分からないまま、でも何か強い衝動が湧き上がり書いたものでした。

もちろん、西村さんにそのことを話したことはありません。
でも「polarsterm」を聴いているときに感じた、あのノスタルジアは
まるで遠い記憶を思い出すかのように奥深く届き、ずっと埋まらないままに
なっていたものをそこに浮かび上がらせ、静かに満たしてくれたのです。

しかし、それはとても瞬間的な出来事で、
しばらくすると、跡形もなくどこかへと消え去っていきました。

でも、たぶんそれでいいのです。


 
〜〜
 星の周波数を読み解くことは星との調和を意味し、
 冬の夜空に凛と輝くポーラスタアの如き素数を理解することでもある。
 そして、それはこの宇宙の成り立ち全てにおけるものとの調和を成し、
 いづれ自らを知ることへと繋がっていく。

 かつては誰もが星使いであった。そしてそれはしっかりと今に受け継がれている。
 人々が数字や図形に敬意を持って接したとき、遠い記憶を思い出すかのように
 少しだけ胸が温かくなるだろう。それは星の温もりであり、素数の温もりであり、
 開かれる時を待つ扉の大切な鍵である。

 只松靖浩 + Cotomono ー 「星と素数」の物語より







こうしてできた、新しい水路にいま、
少しづつ水が流れだしています。

今年はその水路をどんな風に広げていこうかと
また想像をふくらませています。

カバンともども、
今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。




























:::
[PR]
by cotomono | 2017-01-02 18:46 | Comments(0)
<< Take your broke... 展示会のお知らせ >>