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熊本と、むらさき息を吹き返す。

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東京の展示会の直前、ある若き書道家Sさんから突然メールを頂いた。
かばんと、このごく個人的な吐き出し日記に興味を持たれたそうで...
先週の日曜日、とても美しい奥様とご一緒に「フラスコ」にお越しいただいた。

Sさんはご自身の直感を信じて脱サラし、感銘を受けたある有名な書道家の元に
弟子入り後に独立、現在は書道教室などをされながら、感性を大事にした書を
子どもたちに教えていらっしゃるそうで、清々しさの中に情熱を秘めた方。

そんなSさんは、わたしのHPのトップにでてくる手染めの「むらさき」に
ずっと興味を持って頂いてたそうで、ぐるりと展示品をみられたあと、
「あの、むらさきはまだありますか?」と遠慮がちにおっしゃって下さった。


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ちなみに、あの「むらさき」とは、この「むらさき」のことで、
2009年の展示会以降、何度か世に出したものの、興味は持たれるけど
買い手が付かず、結局クローゼットの奥に長らく眠った状態にあった。

買い手が付かなかった理由は、持ち手の使い勝手の悪さにあるのだろうと
自己分析していたので、いつか持ち手をレザーにリペアしたら良かろうと
秘かに思ってはいたものの、日々のあわわにそんなことも消え去っていた。

しかし、やはりこの「むらさき」は使い手を求めて世に出たかったのだろう...
Sさんという存在が、クローゼットの奥に眠っていたものに、
ふたたび息を吹き返すチャンスを下さった。


いい方にもらわれて良かったね、むらさき。
そしてSさん、ほんとうにありがとうございました。




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さて、冷たい小雨の降るなか、昨日は朝から高速バスに飛び乗り熊本へ。

来春、福岡での展示会と前後して熊本でも展示会ができればと、
少しまえからコンタクトをとらせて頂いていた「orange/橙書店」のTさんを訪ね、
短い時間のなか、ご紹介いただいたギャラリーさんにも足を運ぶことができた。

「orange」さんへは6年ほど前だったか、いつもお世話になっている
九大のTさんの結婚式のあと、一度連れてきて頂いたことがあったが、
その当時はまだ小さな雑貨店という佇まいだったが、6年ぶりに訪れてみて
その世界感に、すっと惹き込まれるようであった。

とくに、隣に併設された「橙書店」は、店主Tさんの揺るがない信念が、
選び抜かれた本たち、一冊一冊に宿っているようで、
その空間にいるだけで、本たちとの無言の語らいがはじまるようであった。




福岡という、とても便利のいい九州のラウンドマーク的な都市に暮らしていると、
そこに満足してしまい、案外それ以外の地方都市に足を運ばなくなってしまうけど、
久しぶりに熊本の街を歩き、路面電車やお城、「新市街」というちょっとださい
(失礼...)ネーミングに象徴されるような、でもいい意味で洗練されてない
アーケードを行き交う人や、文化(巷)に直に触れ、
あぁ、この街は「生きている」と実感した。


そして、やはり熊本城にはアイデンティティを感じる。
もうそこに殿様はいないけれど、みえないけれど過去から現代へと続く
普遍的な物語があって、静かに街を見守っている気がした。

それは青森弘前にも感じることであって、弘前城と岩木山、熊本城と阿蘇山、
お城とお山のあるところには、いい文化が育っている。


まだスケジュールは調整中ではあるけれど、
来春、かばんたちと一緒に熊本へ行けることが
ほんとうに楽しみだ。
by cotomono | 2011-12-11 20:02
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