photo:misa shigematsu [STM]
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東京の個展で発表したカバンのいくつかを
お買い求めいただいた方や、興味をもって頂いた方たちの
小さなストーリーを添えてご紹介します。
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こちらは、ビジネスっぽいフォーマルな感じで作ったカバン。
メイン生地は1920年代フランスのデッドストック(未使用)もの。
もともと、ソファーや椅子の座面の生地として織られたものらしく、
表面がざらっとした質感があってすごく雰囲気があります。
サイドのマチは、上部に向かってより薄くなるように縫い合わせ、
底には斜めの切り込みを入れ、丸みを出しました。
シルクでボトムラインに茶色でベースをつくり、
その上に淡い黄色でもうひとライン。
この色の配分については、刷ってみたもののずっと自信がなく、
この色の配分が引立つように、最終的にこのカタチに変えました。
サイドにはレザーとキボジネジを使って、空き止まりを。
これを付けたことで、表情がぐっと引き締まりました。
内布には質感のあるブルーグリーンを合わせ、
本体と一体化させたポケットを付けています。
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このカバンをお求めくださったTさんは、とても熱心にものをみて下さる方です。
どうしてこのカバンが必要なのか、丁寧にお話くださいました。
オーダーものと違い、個展用の作品をつくっている時は、
お使い頂く方の顔がみえるわけではないので、自信が持てなかったりもします。
世に出し、受け取ってくださる方がいてはじめて、完成するようなものです。
Tさん、ふたたびのお買い上げとオーダー、
いつもありがとうございます。
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