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05:kami-bukuro [手提げ/肘掛け]h410×w420×d180

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photo:misa shigematsu [STM]

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東京の個展で発表したカバンのいくつかを
お買い求めいただいた方や、興味をもって頂いた方たちの
小さなストーリーを添えてご紹介します。
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こちらは、いわゆるトートーバッグなシンプルなカバンです。
素材はフランスのデッドストック(未使用)もので、
おそらくコットンだと思いますが、独特の張りがあって、
一見、紙のような質感があるのが特徴です。

もともと、どんなカタチにするかはっきりしないままに、
この白地に「金赤」と呼ばれる鮮やかな赤のラインを入れたら
どれだけ美しいだろうと、ただそれだけでシルクを刷りました。

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それで、結果的にできあがったのがこのカタチ。
目指したのは、シンプルな「紙袋」のようなカバン。

そのため、紙袋のように“くしゃっ”となりそうな雰囲気をつくるのに一苦労。
構造部分を何度も調整して、ようやくイメージしているものに近づくことができました。

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紙袋のように、そこらへんにあるものをポイポイ入れて
がしっとつかんで持っていけるように。

そして、ただそこらへんに置いといても絵になるように。

取手のレザーの色、幅、厚み、取り付けの位置、
それからポイントとなる赤のラインをどこに置くのがベストか、
シンプルが故に、非常に頭を使った作品となりました。


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このカバンを一目にで気に入って下さったのが、出張カフェでもお世話になった
『茜や』のあかねさんでした。
あかねさんは、初個展のときに私が私物として使っていたカバンを気に入ってくれて
「おなじものを作って」とオーダー下さったりで、私と嗜好が似ているのかも(笑

あかねさんの本業は、グラフィックからインテリアまで幅広くこなすデザイナーさん。
私はあかねさんのお仕事をほんの少ししか知りませんが、
とにかく、色の感性がぴかいち!
リニューアルした『貞』の内装と扉も手がけられていますが、
その絶妙な色合いときめ細かやなお仕事ぶりはお見事でした。

そんなあかねさんですが、『茜や』を始めたのは意外にも
旦那さまの転勤でしばらく暮らした福岡だったそうです。
福岡の人がみんな「好きなことを好き勝手やってて楽しそうだったから」と
いまや、すっかりというか東京にいながらばりばりのふくおか人のあかねさん。
当然、共通の友人やら知り合いやらがやたらと多くて、ふたりで話してると
ここは、ふくおかか!とつっこみをいれなきゃいけませんが、、、(笑

それで、肝心のお茶の方はといいますと。
カフェに訪れたお客さまに、「何流ですか?」と尋ねられ、
「あかね流です」とわたしが代わりに冗談で答えてたほど、そのスタイルは自由。
でも、ちゃんとその道で学ばれ、何よりお茶を深く理解し愛していらっしゃいます。

出張カフェでは、冷たいお煎茶とお抹茶をいただきましたが、
出汁のように甘くコクのある、お煎茶のいちばん茶にはびっくり、、、
ちなみにお抹茶は、シェーカーでしゃかしゃかと振って出てきました(笑
手さばきも見事に、こちらも爽やかでおいしゅうございました!


と、王道とオリジナリティが入り混じる『茜や』のお茶ですが、
なんと本が出版されます!タイトルちゃんと聞くの忘れちゃいましたが、
9月20日頃、朝日新聞出版より発売となるそうです。
またちゃんと発売になったらお知らせしまーす。


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出張カフェでご一緒させてもらいながら、あかねさんといろんな話しをしました。
フリーランスで仕事をするということ、東京と福岡(地方都市)との違いなど、いろいろ。


東京に滞在するたびに思うのですが、やはり東京は暮らすに大変な場所です。
街も人も終わりが見えないくらいに巨大で、気がつけば「消費」というモンスターが
大きな口を空けて呑み込もうともします。
そんななか、みんなほんとうによく頑張っているなと思います。

そして、東京にしかない絶対的な「何か」があるのも確かです。

それは、変化であったり、可能性であったり、
それに伴う、厳しさであったり。

正直なところ、ホームグランドはやっぱり住み慣れた福岡がいいなと思います。
でも、それと同じくらい、ここを離れてみたいという思いもあって、
これから先、わたしはどこへ向かうんだろうと、他人ごとのようにみている自分がいます。




そして、いまこの瞬間抱いている気持ちは永遠ではないということ。
永遠であってほしいと、それにしがみついた瞬間、それはふっと消えていく。




だから、それをちゃんと携えていくほかないのだ。
それが、きっと変わってゆくということなんだろう。



変わらないものをもって、
変わってゆこう。
by cotomono | 2010-09-09 21:03 | Cotomono Works
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